『愛の夢 第3番』練習中。

 色々あって、もうすぐ披露宴でピアノを弾くことに。人前で真面目にピアノを弾くのは、もう十数年ぶりになる。

 僕は小さい頃の一時期、ピアノを習っていた。あんまり優秀な生徒ではなかったとは言え、一応9年間にもなる。しかし、それから約12年間は全く弾いてこなかった。ピアノは「1日弾かなければ3日後退する」と言われる世界である。12年のブランクとして36年分を差し引くと、僕のキャリアはマイナス27年。0歳児に追いつくにはあと四半世紀ほどかかる計算となる。

 しかしそれでも、披露宴で弾くとなればそれなりの曲を用意しなければならない。いい年した大人がスーツ姿で『猫踏んじゃった』を弾くのは、シュールではあるが、敢えて自らそんなネタになろうとは思わない。やはり恥ずかしくない程度に難しそうで、誰もが聞いたことのあるような映えるメロディで、かつごまかしの効く曲でなければならない。

 リストの『愛の夢 第3番』を選んだのは、つまり、そういう理由からだった。素人泣かせの難易度を誇るフランツ・リストの曲(名前からして『超絶技巧練習曲』だったり)の中で、最も有名な曲の一つでありながら、かろうじて弾けそうな難易度だ。メロディの流麗さもさることながら、細かい音やテンポをごまかしても、それなりに綺麗に聞こえそうなあたりが素晴らしい。また、両手同時跳躍や手の交差といった、聴き手にとっては意味は無いが弾き手的には楽しいギミックも多い。割とどうでもいいけど、『愛の夢』という名前自体も披露宴に合ってそうだ(個人的にはショパンの『別れの曲』の方が好きなのだけれど、いわゆる「6度の森」がどうにもなりそうになかったので、仕方なく)。

 そんなわけで、それなりに弾けるところまでは練習したのだけれど(完成ではなく、あくまでそれなりに)。最大の難所、両手半音ずらし下降の部分が未だに成功率が低い。土曜の本番までに、うまくごまかす方法を考えなければ。

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 この部分、繰り返し練習していると、ゲシュタルト崩壊に陥りそうです。


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