Archive for February, 2007


[本] マルコム・グラッドウェル『ティッピング・ポイント』

Sunday, February 18th, 2007

 ある商品やサービスが急激にヒットし、他に競合があるにも関わらず市場を席巻する、という現象をしばしば目にすることがある。例えばiPodはまさにそうだったし、最近だとNintendo DS人気がPS2市場さえも食い尽くし兼ねないほどに広がっている。あるいはYouTubeがいかに短期間で今の地位を築いたか、思い出してみるのもいいだろう。そうした、形勢が一気に「傾く」現象はそれほど珍しいことではなく、むしろネットで情報伝達が早くなったためか、近年ますます増えつつあるように思う。
 そんな爆発的ブームを理由づけて説明しようとしたビジネス書、『ティッピング・ポイント』。何年か前に米国でベストセラーとなり、今でもそこそこ支持されている本らしい(2007年2月現在でも本家 Amazon.com で書籍37位) 。ハッシュパピーやセサミ・ストリートなど実在の成功例を元に、どのような条件が揃えば劇的にヒットするのか、という仮説を打ち立てた野心的な内容。

ティッピング・ポイント―いかにして「小さな変化」が「大きな変化」を生み出すか
マルコム グラッドウェル Malcolm Gladwell 高橋 啓

ティッピング・ポイント―いかにして「小さな変化」が「大きな変化」を生み出すか
飛鳥新社 2000-02
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starあなたの人生を変える本だから
star違う発想の視点を得る絶好のネタ
star本当に愛せる人には限界がある(らしい)

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 要するにヒットが生まれるメカニズムの考察なのだけど、よくある低俗ビジネス書みたいに「こうすれば売り上げが10倍に!」とかいう怪しげなHow-To本ではなく、あくまで実例とそれに対する仮説を積み上げに徹しており、なかなか好感が持てる。仮説、といっても科学的に検証できる類のものとは思えないが、それでも爆発的ブームという現象自体は実在するわけで、百匹目の猿現象みたいなデタラメよりは遙かに信憑性がある。割れ窓理論スタンフォード監獄実験などが出てくるのも個人的にちょっと嬉しい。やや例が長くて冗漫な部分もあるけど、ブームに対する考え方の足がかりを得る本として、読む価値はあると思う。(★★★★)

Tipping Point - Wikipedia

Tipping Point - Net Version
 よくまとまっている要約。これだけ読めば大体分かるかも。
http://radio.weblogs.com/0107127/stories/2003/01/01/tippingPointNetVersion.html

[本] ブリジット・オベール『マーチ博士の四人の息子』

Wednesday, February 7th, 2007

 マーチ博士とその四つ子の息子の館に住み込みで働いているジニーは、ある日、館の中で「殺人」日記を発見する。日記の盗み読みを続けるジニーに対して、日記の書き手は殺人の予告を記し、その通りに殺人が起こってしまう。ジニーは自らも手記を綴り、ある時は殺人者の日記に書き込み、ある時はテープレコーダーを用いて、殺人者の正体をつきとめようと孤軍奮闘する。自らをマーチ博士の息子の一人と称する犯人。しかし、ジニーは誰が犯人かは分からないまま、日記とレコーダーを通じての奇妙なコミュニケーションを続ける。第二、第三の殺人が起こり、やがてジニーにもその矛先が向けられて──。

マーチ博士の四人の息子
ブリジット オベール Brigitte Aubert 堀 茂樹

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 と、一見すると「四人のうち誰が犯人?」という謎解きミステリーっぽいプロットだけど。正答につながるヒントがまるでないまま進行し、最後に意外過ぎる犯人でひっくり返されるので、真面目に犯人を推理しながら読むとバカを見る。ちなみに「四人全員が共犯だろう」と予想していた僕は、映画版『サイコ2』のラストと同じくらいの衝撃(あるいは脱力感)を受けた。全体的にやや中だるみ感があるのと、あんまり頭脳戦になってないあたりが残念だが、ジニーの憎めない性格と最後の鮮やかかつ泥臭い反撃は良かった。(★★★)
 これがブリジット・オベールのデビュー作。他には『ジャクソンヴィルの闇』を読んだけど、あっちは素敵なくらい容赦の無いゾンビ系パニックホラーの良作だった。ちょっと他の作品もチェックしてみたい。

[ネタ] これはひどい。

Saturday, February 3rd, 2007

トリプル役満

 イカサマにも程があります。