Amazon EC2 は本当に安いのか?

答えは Yes and No。

ハートレイルズが Amazon EC2 を勧めるのは、とりわけ次のような場合です。

1) 顧客数の増減が頻繁に発生する法人向けの ASP を運用している場合
2) ユーザー数が急激に伸びている BtoC のサービスで、サーバーの管理工数を圧縮したい場合
3) 必要に応じてバッチ処理を実行するジョブサーバー
4) 期間限定のキャンペーンサイト

基本的に、Amazon EC2 の利点はサーバーのセットアップフィーがなく、またサーバーの増減 (とりわけ減) を即時に実行できることに集約されます。単純な料金のみで比較すると、Amazon EC2 の Reserved Instance (3 年) を採用できる場合にはかなりの競合力を持ちますが、通常のケースでは Amazon EC2 よりもはるかに高スペックで同価格帯のサービスは (特に海外では) 無数にあります。また、自宅/自社設置のサーバー等が Amazon EC2 よりもはるかに安くつくのは言うまでもありません。

では、なぜ 1) のケースで Amazon EC2 を勧められるのかというと、法人向けの ASP の場合はある程度そのサービスを継続させるという意思が前提としてあり、かつサーバー当たりの売り上げがかなり正確に予測できるからです。そのため、適切な料金設定さえ行えば、Reserved Instance の採用と合わせて無理なく ASP の運用を行うことが可能です。また当然、顧客の増減に合わせて余計なコストをかけずにサーバーを増減できるため、設備投資の予測に失敗して余計な資産を抱え込むといった心配もなくなります。

次に 2) のケースですが、ユーザー数が急激に伸びているサービスでは、サーバーの設置や設定、運用を自前で全て行うことはかなり大変です。ハートレイルズでも何割かのサーバーは自社で運用していますが、毎回一からサーバーを組み立てたり、ルーターやサーバーの故障でその都度故障個所を交換したりと、金銭的なコストを抑えられる代わりに人的なコストがどうしても高くつくのが常です。かと言って、一般的なレンタルサーバーで運用する場合にはサーバーの追加にそれなりに時間を要することが多く、ユーザー数の伸びにサーバーの追加が追い付かないということがままあります。そのため、こうしたケースでも、直ちにサービスのスケーリングを実行でき、かつある程度サーバーの管理に必要な人的コストを抑えられる Amazon EC2 に活躍の余地があります。(人的なコストが抑えられる代わりに金銭的なコストは多少上がるかもしれません。)

最後に 3) と 4) のケースですが、常にサーバーを立ち上げておく必要のないサービスには、立ち上げている期間にだけ課金される Amazon EC2 は非常に適しています。とりわけ、バッチ処理等を実行するジョブサーバーは、必要なジョブを Amazon SQS 等のキューに溜め込んでおき、キュー内にジョブが残存している場合にだけ動的に Amazon EC2 を立ち上げておく等、一般的なレンタルサーバーで運用する場合よりもコストを圧縮することが可能です。

以上、そのうち Google App Engine や他の VPS ホスティングとの比較にも言及したいと思いますが、長くなりそうなので今日はこの辺で。ちなみに、現時点でのハートレイルズにおけるサーバーの運用の割合は、自社設置のサーバー 3 割 ~ 4 割、外部の高スペックの専用サーバーが 3 割 ~ 4 割、Amazon EC2 が 1 割 ~ 2 割、Google App Engine が 1 割 ~ 2 割、といったところです。ハートレイルズではその時々に合わせてサーバーのランニングコストを最小化するため、かなり頻繁に業者間の移動を行っています。そのため、サービスはなるべく Xen 等で仮想化し、移動しやすいようにしていますが、その辺のノウハウは CloudSpace に集約しているので、サーバーの運用を委託されたいお客様はぜひ一度お声掛けください。

中には何か CloudSpace を中抜き業者だと勘違いされている方もいらっしゃるようですが、CloudSpace はサービスの現況に応じて金銭的なコストや人的なコストを最小化する提案を行い、またそれを実施、代行するサービスです。逆に言えばその辺のコストが下げられないような場合にはあえてクラウドを活用する意味はないので、そういったことも含めて一度ご相談いただければと思います。



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